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39th ‘12.2.24 /遠藤勝勧氏

「見る測る建築」

February 24th, 2012

今回の講師である遠藤勝勧氏は、菊竹清訓建築設計事務所の元副所長であり40年間勤務した後、現在は自身の設計室を主宰されている建築家である。

まず、金曜会開催のタイミングが非常にタイムリーなものとなった。というのも、昨年末に菊竹清訓氏が逝去されたこと、またその菊竹氏が中心的人物となったメタボリズム運動をテーマとした展覧会が、事務所にほど近い森美術館での会期を終えたばかりであったからだ。そのため所員の期待も非常に高かったが、想像を上回る濃密な発表が待っていた。

通常、金曜会のスタイルはスクリーンに投影されたスライドを中心とした形式が多い。しかし遠藤氏の場合はスライドを始める前に、今までの膨大な実測スケッチやスケジュール帳から厳選されたページの原寸コピーが、会場の机を埋め尽くすように並べられていた。そしてその原寸コピーを手に取り解説しながら、19歳で菊竹事務所に入ったこと、経験不足をカバーするために終戦後の都心の建物を手当たりしだい実測しはじめた事、その後菊竹氏に勧められたアメリカ旅行をきっかけにして本格的に実測スケッチのスタイルを確立したという経緯を語っていただいた。並べられた原寸コピーを熱心に見つめる所員の姿が多く目に付いた。

そして圧巻だったのは、原寸青焼きで持参いただいた、西武大津ショッピングセンター(1976年竣工)を設計し監理した際に作成したという手描きの工程表である。会場の壁に貼り出したが、その密度の濃さは原寸とは思えなかった。

続いてスライドを使い、菊竹事務所の名作たちを、遠藤氏だけが知りえる経験を交えながら語っていただいた。菊竹事務所勤務時に担当した作品は実に400にのぼるという話しがあり、驚きの声が上がった。それぞれのスライドで、1枚の写真の美しさの奥に隠れた、設計時の菊竹氏とのやり取り、現場での施工側との交渉、クライアントとのコミュニケーションを、実際に交わした会話まで鮮明に語っていただき、時代を超えて目の前に浮かび上がってくるようであった。

ユーモアを交えた優しい語り口であったが、その思い出話の言葉の裏からは大変な苦労、またそれを乗り越えたときの喜びなどが自ずと所員に伝わってきた。会の終了時間が過ぎても、夜遅くまで遠藤氏を中心に話の輪が消えなかったのが印象的だった。
(記録:吉田)

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[講師略歴]
1934年東京都生まれ。1954年早稲田大学工業高等学校卒業後、1955年菊竹清訓建築設計事務所入所。主な担当は「東光園」「島根県立図書館」「西武大津ショッピングセンター」「福岡市庁舎」など。1994年同事務所退所。1996年遠藤勝勧建築設計室を設立、現在に至る。最近作は「I.T.DESIGN STUDIO」など。主な著書に、「見る測る建築」「スケッチで学ぶ名ディティール」などがある。